主張・見解
橋下市長に抗議し、調査中止を求める
婦民新聞第1389号(2012年2月29日発行)より
二月九日、橋下大阪市長は全職員に「労使関係に関する職員のアンケート調査」を実施しました。その内容は憲法違反の「思想調査」にほかなりません。憲法第十九条の「思想及び良心の自由」、第二十一条の「政治活動の自由」、および第二十八条の「労働組合の正当な活動の自由」を侵害する不当なものです。
橋下市長はこの調査を「業務命令」とし、正確な回答がない時は処分の対象にするといっています。処分をちらつかせ、氏名・職員番号を記入させるという強制思想調査ともいうべきもので、とうてい許せるものではありません。
二〇〇三年に川崎市が幹部職員を対象に実施した政党機関紙購読調査を憲法違反の思想調査にあたるとして闘われた裁判では、二〇一一年、東京高裁で「思想及び良心の自由の保障との関係で限界に近い状態にある」と「実質勝利」の判決が確定しています。
思想調査即時中止の世論と運動の広がりの中で、二月十七日、担当の野村特別顧問は開封・集計の凍結を表明しましたが、橋下市長は「解明時期がちょっと延びる」だけと、まったく無反省です。
また二月二十一日には大阪市教育委員会が会議を開き、実施しないことを決定しました。
折も折、「職員基本条例」「教育行政基本条例」の二条例案も大阪府議会二月定例会に提出されました。許し難い二重の暴挙です。
私たちは橋下市長に厳重に抗議し、調査の即時中止とデータの廃棄を求めるとともに、憲法を遵守し、民主的な市政運営を行なうよう強く求めます。