主張・見解
増税と社会保障制度改悪を許さない大運動を
婦民新聞第1385号(2012年1月20日発行)より
昨年三月十一日、東日本を襲った大災害で国民すべてがひときわ心を引きしめて迎えた新年でしたが、あろうことか野田佳彦首相は年頭の会見で、消費税増税強行の決意表明からスタートしました。消費税増税は、震災・原発事故からの生活の再建が立ち遅れ、苦しんでいる被災者をはじめ低所得者層に、より過酷に襲いかかり、国民のくらしの前途を閉ざす最悪の大衆課税です。
二〇〇九年の総選挙で「四年間は消費税を上げない」といって民意を集めた民主党政権は消費税率を二〇一四年四月に八%、十五年十月に一〇%に引き上げると同時に全ての分野にわたる社会保障の大改悪を盛り込んだ「社会保障・税一体改革素案」を決定しました。年金・医療・介護・子育てなど、あらゆる分野での社会保障・社会福祉制度は、国民の人権・生活を守る制度から、国民の生存権さえも奪い取る制度に変えられたといっても過言ではない、まさに構造的な大改悪です。
一方で野田内閣は、大企業や高額所得者に減税し、「収束」のめどもたたない原発に推進予算をつけ、八ツ場ダムや東京外環道の工事を継続しようとしています。大型開発や軍事費の膨張など、すべてのツケを消費税増税で国民に負わせるやり方を許すことはできません。
東日本大震災と東京電力の福島原発事故は、いやおうなしに私たちの政治や社会を見る目を深め、社会的連帯の大切さを考えさせ、一歩足を踏み出させる体験となりました。二〇一二年も、平和と命・くらしを守る運動に一層力をあわせていきましょう。