主張・見解
育鵬社・自由社版教科書の採択阻止を
婦民新聞第1371号(2011年7月30日発行)より
この夏、来年度から使用される中学校教科書が、いっせいに採択されます。その日程が目前に迫っています。
最大の問題は、歴史を歪曲し、日本国憲法を敵視するとして問題になった歴史、公民教科書のそれぞれ二種類が検定に合格し、出そろっていることです。「新しい歴史教科書をつくる会」が分裂、分かれた日本教育再生機構=「教科書改善の会」は育鵬社から、「つくる会」は自由社から、それぞれ歴史・公民を発行しています。
婦人民主クラブでは、会員たちが六〜七月に行なわれた地域の教科書展示会に足を運び、問題の教科書を手にとって検証しました。日本国民だけではなく、アジアの人々に大きな苦しみを与えた戦争への反省から日本は武力を放棄し、平和主義に基づき世界の人々と信頼関係を築くことを憲法で宣言しました。しかし、育鵬社版にも自由社版にも先の戦争に対する批判や反省は全く見えません。またどちらの教科書も内容に間違いが多いことが指摘されています。
彼らは、前回、東京都杉並区や横浜市で成功させたやり方を全国に広げようとしています。首長に働きかけ、教育委員の過半数を獲得、無記名投票で採択させようというもの。来年度から四年間、中学生が学ぶことになる教科書です。アジア太平洋戦争を美化し、国民より「天皇」と国家を優先する教科書、そんな教科書を子どもたちに渡すことはできません。事態は緊迫しています。広くこれを知らせ、教育委員会への働きかけを強め、全力をあげて育鵬社、自由社の教科書の採択を阻止しましょう。