主張・見解
「戦時慰安婦」問題の一日も早い解決を
婦民新聞第1348号(2010年11月20日発行)より
「戦時慰安婦」問題の解決が今、待った無しの状況です。戦後六十五年、被害女性の方々はすでに高齢となり人権を踏みにじられたまま多くの方が亡くなっています。
過去の大戦における戦争責任として日本政府は、日本軍「慰安婦」問題の事実を認め、政府として謝罪し、被害の補償を行なうことが国際的にも強く求められています。しかし政府は、この問題については決着済みだとして、一貫して法的責任を拒否し続けています。
二〇〇〇年に開かれた「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」から十周年に当たる今年、「『法廷』は何を裁き、何が変わったか―性暴力・民族差別・植民地主義」と題するシンポジウム(同法廷10周年実行委員会主催)が十二月五日、東京で開かれます。
二〇〇〇年の女性国際戦犯法廷は「裁きによる被害者の尊厳の回復」、「裁きなくして和解なし」の理念のもと、ジェンダーの視点と植民地支配への批判的視点から被害女性の正義の実現を求めたものでした。「法廷」からの日本政府への勧告は今も実現されていません。しかしこの十年、国内外の連帯行動は大きく広がり、米下院やEU議会など各国議会決議が相次ぎました。また昨年、国連女性差別撤廃委員会は日本政府へ「最終的解決への努力」を再度厳しく勧告しました。日本でも自治体意見書採択を要求する運動が今、全国で取り組まれています。
「法廷」十年後のシンポジウムの成功を願うと共に、日本政府による「戦時慰安婦」問題の一日も早い解決を求めるものです。