主張・見解
国会議員定数削減反対の世論を広げよう
婦民新聞第1344号(2010年9月30日号)より
民主党は衆議院比例定数を八十議席、参議院でも四十議席削減をマニフェストに掲げています。菅直人首相は、この問題に対する党内の意見をとりまとめ、十二月までには与野党で合意を図ってもらいたいと指示したことを明らかにしました。
小選挙区制は膨大な死票を生む非民主的な制度ですが、それを緩和し、多様な民意を反映するために導入されているのが比例定数部分です。その比例定数削減は、多様な民意そのものを切り捨てることにほかなりません。
人口十万人あたりの国会議員の数を諸外国と比較すると、スウェーデン、フィンランドなどの約三・八人に対し、日本は〇・六人と最下位に近いレベルです。このうえ議員定数を削減しては、国会として成り立つのかどうかさえ、あやぶまれます。
小選挙区制は一九九四年一月に、国民の反対の運動を押し切って、財界などの圧力により導入されました。その目的は財界が求める軍事、外交、国家体制などの基本政策を同じくする二大政党制の実現です。比例定数削減は少数政党を排除し、より強固な二大政党制を打ち立てるためであり、それが実現すれば憲法改悪も消費税率アップも意のままです。
「まずは国会議員自身が身を削り、支出のムダをなくす」などという理屈も聞かれますが、それをいうなら年間三百二十億円も支出している政党助成金を廃止すべきです。平和とくらしを守る私たちの願いは、決して二大政党制などに集約されるものではありません。比例定数削減反対の世論を大きく広げましょう。