主張・見解
日米共同声明「辺野古」案は政府の裏切り
婦民新聞第1334号(2010年6月10日号)より
政府は五月二十八日米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先を名護市の「辺野古」とし米軍の訓練場には「徳之島(鹿児島県)などに県外移転を検討」という「日米共同声明」を発表、閣議決定の署名を拒否した福島消費者・少子化担当相(社民党党首)を罷免しました。沖縄県はもとより日本全国から非難、反対、抗議の声が噴出しています。
鳩山首相が自ら決めた五月末決着の帳尻合わせのため、地元の合意も与党内の理解もないまま、米国の顔色をうかがった強引な共同声明となりました。「移設は県外・国外」の公約を破り、沖縄の民意を踏みつけにした裏切りに鳩山政権の責任がきびしく問われています。鳩山政権の八か月にわたる迷走の根本には「海兵隊は抑止力」という強固な思い込みがありました。米国の軍事専門家でさえ「海兵隊には日本防衛の任務はない」と明言しているのです。
世界は今、平和共存の地域共同体をめざし、軍事同盟は次々と休業状態に陥っています。日米安保条約という軍事同盟は、かつての日独伊三国同盟のように国際的に懸念の目で見られています。
普天間問題がゆきづまり、身動きできなくなっている今こそ、日米安保条約を見直すべきときでしょう。ところが鳩山首相は、突如小沢幹事長を道づれに政権を投げ出しました。後継の第九十四代首相には急きょ菅直人副総理兼財務相が選出されました。菅首相は「日米合意」を継承する姿勢ですが、国民は米国より日本の民意を重視してくれる政治を切に望んでいます。そのことを肝に銘じてほしいものです。