主張・見解
運動を強め「改憲手続き法」の廃止を
婦民新聞第1332号(2010年5月10日、20日合併号)より
五月十八日、明文改憲を可能にする、改憲手続き国民投票法が施行されました。
アフガニスタン、イラクと「ブッシュの戦争」が続く中でアメリカの日本に対する軍事的要求が強まり、折しも小泉・安倍と続いたタカ派政権は戦争参加を合法にする憲法九条改悪を日程にのぼせ、安倍内閣は三年後の改憲をめざして二〇〇七年強行採決でこの法を成立させました。
それは国民の自由な活動をしばった上、さらに最低投票率の定めもないなど改憲派に有利な規定満載の不公正なものです。
しかも現実にこの法を使うためには、例えば投票年齢を確定する際に必要な公選法や民法の整備などクリアしなければならない多くの問題があり、それらを指摘し施行日までに整備を求める三つの附則と十八もの附帯決議がつけられました。これは欠陥法であることを自ら白状したようなもので、本来ならば作り直すべきものです。
自民党惨敗後の国会ではこの法の発動を望まぬ民意を反映して、附則と附帯決議に盛りこまれた注文は何一つ解決していません。従って施行は延期すべきものです。これに対し民主党政府はこの間、施行は当然との態度で施行令や施行規則作りをするなど、この日を迎える準備を進めてきました。
しかしこのまま施行すれば、結局この法を現実に使うとき、これらを一つずつ整備する必要に迫られることとなり、それは改憲反対運動を高める足がかりになるでしょう。この法の発動を許すか否か、さらにはこの法を廃止できるか否かも、私たちの今後の運動にかかっています。