主張・見解
小選挙区制廃止への世論を起こそう
婦民新聞第1306号(2009年7月20日発行)より
近く行なわれる衆議院議員選挙を前にして自民、民主両党が「政権公約」に国会議員の定数削減を盛り込もうと競い合っています。狙いは比例代表の定数削減です。自民党は五十人程度の削減を主張、比例定数に相当する百八十削減を求める意見まであります。民主党は比例定数八十削減といっています。
一選挙区で一人の議員を選ぶ小選挙区制は大政党に圧倒的に有利な選挙制度です。比例定数の削減は、小選挙区制中心の現在の衆院の選挙制度で唯一国民の意志を議席に反映している比例代表制の役割をさらに弱めるもの、まさに民主主義破壊の暴挙です。
小選挙区比例代表並立制が導入されたのは一九九四年。自民党と当時の「非自民」、現在の民主党や社民党の前身の政党が合意し、小選挙区制で三百議席、比例代表二百議席という小選挙区中心の制度として発足。さらに一九九九年には比例代表を二十議席減らし、現在の百八十議席とされたのです。
自民党や民主党は議員定数削減を、ムダをなくすため身を削るものだといいますが、主要民主主義国を比較した場合、日本の国会議員数は人口比でほぼ最下位だといいます。削るのはムダではなく、比例代表なら議席に反映されるはずの多様な民意です。この策動を許せば、消費税の増税でも憲法の改悪でも、国会の中では国民の反対にはおかまいなしに、何でも思いのまま通せるということになりかねません。
民主主義に反する小選挙区制を廃止し、比例代表を基本とする選挙制度にするための世論をまき起こしていきましょう。