主張・見解
農地法ではなく、真の農業再生を
婦民新聞第1300号(2009年5月10、20日合併号)より
いま、国会で農地法「改正」案が審議されています。農地法は戦前の地主制を廃止し、耕作する農民に耕地を所有させるため、耕作者の農地に対する権利を保護し、耕作者たる地位を安定させる目的の下に、一九五二年、制定されました。これにより農業経営は安定し、戦後の農業発展がもたらされたのです。
ところが今回の「改正」では農地法の目的を「農地を効率的に利用する者に農地の権利を認める」と変え、自ら耕作しなくても農地を借り、農業経営ができるとする大転換をめざしています。耕作放棄地の解消のためというのです。
減反や農産物の輸入自由化、米輸入の受け入れなどにより農産物価格の低落が続いてきたため、農業では生活できなくなり、いま深刻な農業人口の減少、高齢化が進み、耕作放棄地がふえています。農業再生のためには、米を含む農産物の価格を保障し、生活できる収入の確保が必要です。
農地法はこれまでも何度も改訂され、すでに株式会社が農業に参入する道が開かれてきましたが、今回の「改正」案では農外企業の参入が一層容易になっています。
いま農外企業の下にある農地では、モノカルチャーによる価格暴落や簡単な撤退、水路管理の放棄など、問題が起こされ、事実上産廃処分場にされている例もあります。
食料自給率を高め、日本の大地から安全安心の食料を生み出すためには、農産物の価格保障を制度化して農業経営を安定させ、農民と耕地を切り離す農地法改悪はくいとめなければなりません。消費者も共にがんばるときです。
婦人民主クラブ