主張・見解
迎春 共同の輪を広げ希望ある未来へ
婦民新聞第1288号(2009年1月1日発行)より
「僕たちにも二〇〇九年を迎えさせてください」。昨年末放映された「派遣切り」にあった青年の悲痛な声が、いまだに耳に残っています。彼はどんな新年を迎えたことでしよう。莫大な儲けはそのままに大量の派遣労働者を放り出す大企業に、物申すこともできない政府を許すことはできないと、怒りのなかで迎えた新年です。
小泉「構造改革」路線を丸ごと引継ぎ、選挙という審判を受けずに三人もの首相を入れ替わらせてきた結果、自公麻生内閣の支持率は就任三か月にして一〇%台と完全に国民から見放され、崩壊寸前です。
さきの派遣労働者も高齢者も農・漁業者も、行動に立ち上がった二〇〇八年でした。そして今年こそ、選挙の年です。
二〇〇九年は「女性差別撤廃条約」採択三十周年、「子どもの権利条約」採択二十周年にあたる年です。日本政府はどちらの国際条約も誠実に履行しようとする姿勢がありません。女性や子どもの権利拡大を掲げている私たちは、その条約をもっと実効あるものにしていくためにも力を尽くさなければなりません。
世界は今、平和の大きな流れのなかにあります。しかし日本政府は米国への追随を止めず、昨年も「新テロ特措法」を強引に成立させました。
昨年十一月、地域「九条の会」は七千を大きく超えました。野火のようなこの広がりは、憲法を改悪しようとする勢力への大きな脅威でしょう。「九条の会」の呼びかけ人の加藤周一さんは生前、「平和は守るだけでなく、作り出さなければならないものです」と語っています。今このときも世界のどこかで戦闘行為は繰り返され、かけがえのない多くの命が消えていることを思うと、「九条」を持つ国の私たちの役割がほんとうに大きなものだと思えます。宮本百合子の「私たちは決して平和を手離さない」を合言葉に、今年も共同の輪を広げ、希望ある未来めざしてご一緒に歩んでまいりましょう。