主張・見解
自国の食は自国で決める食糧主権確立を
婦民新聞第1268号(2008年05月10日・20日合併号)より
近年、食の安全に対する不信が日本中を覆っています。老舗の食品偽装に止まらず、BSE牛や中国製冷凍ギョーザなどは生命にかかわる問題として人々に大きなショックを与えました。その裏には輸入食品の検疫体制の弱さ、そして根本的には三九%にまで落ちこんだ食糧自給率の低さがあります。
一九五四年、MSA協定で余剰農産物を受けいれて以来、日本の食は一貫してアメリカに支配されてきました。特に一九六〇年改定の日米安保条約第二条で経済協力を約束してから日本は、重工業製品輸出の見返りにアメリカの余剰農・畜産物を次々に受けいれ、食管法で守られていた米以外の作物は駆逐されていきました。米作付がふえ余剰米を抱えた政府は、一九七〇年から減反を続け、いま水田の四割が休耕田となっています。
さらに一九九五年発足のWTOは農産物の自由貿易・各国内の補助削減を定め、食品安全の統一基準を設けました。
アメリカなど大国と多国籍企業だけを利するWTOは、世界の民衆や発展途上国の反発にあい、今身動きできずにいます。代わりに税率ゼロの自由貿易を促すFTA協議が進められ、いま日豪間でも交渉が行なわれています。日本の食糧自給率は一層下がること必定です。しかしいま世界は食糧不足、価格高騰でいつでも買える状況ではありません。
強権的におしつけられてきた農産物輸入による深刻な自給率低下克服のため、大国や国際機関の干渉を受けず、自国の食糧政策は自国できめる食糧主権を確立しなければなりません。