主張・見解
長崎市長銃撃―言論封殺の暴挙許さず
婦民新聞第1234号(2007年4月30日発行)より
四月十七日の一斉地方選挙の最中、伊藤一長長崎市長が暴力団員に銃で撃たれ、死亡するという痛ましい事件が起きました。
選挙活動中の候補者を殺害するなど卑劣な行為であり、民主主義を否定し、言論を封殺する蛮行です。絶対に許すことはできません。伊藤一長市長は、長崎市長として、毎年八月九日の長崎平和宣言の中で、恒久平和・核兵器廃絶を訴えつづけてきました。昨年の平和宣言では、「人間は何をしているのか…」と鋭く説き、被爆者の心に寄り添って、核兵器廃絶への決意を全世界の国々へ発信しました。
一九九五年、フランスの核実験再開強行に対して世界で抗議行動が起こり、オランダのハーグで「国際司法裁判所」が開かれました。伊藤長崎市長は平岡敬前広島市長とともに証言に立ちました。
外務省の圧力に屈せず、被爆国の市長として「核兵器使用は国際法上も違法である」と被爆の実相を訴え、証言しました。この証言は世界の人々に感動を持って受けとめられ、核兵器廃絶の気運が大きく世界にひろがりました。
長崎では一九九〇年一月、本島等前市長も「天皇の戦争責任はある」と発言したことを理由に右翼団体幹部に銃撃され、生命の危険にさらされました。繰り返されるこうした事件に対し、厳正な対処と捜査を求めます。
「強い力が支配する」風潮がはびこる社会にしてはなりません。
暴力と平和は相容れないという世論をつくっていきましょう。伊藤一長市長のご冥福を祈り、暴力に屈せず平和と民主主義擁護の決意を新たにしています。