主張・見解
高齢者をねらう負担増ノーの運動を
婦民新聞第1211号(2006年08月30日発行)より
六月、自公与党の賛成で成立した医療制度改悪法により、十月から患者負担増が実施されます。柱は@七十歳以上の「現役並み所得者」の窓口負担二割から三割へ。A七十歳以上の療養病床入院患者の食費、居住費の自己負担増。B高額療養費の自己負担限度額の引き上げです。
今年に入り、すでに高齢者は大幅な増税(住民税の公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、非課税措置の廃止、定率減税の半減)と、その影響による介護保険料や国民健保の負担増が重なって、婦民会員の間からも不安や怒りの声があがっています。これに追い打ちをかけるのが医療改悪による負担増です。高齢者への控除縮小、廃止は、この八月から医療費が二割負担の「現役並み所得者」(課税所得が百四十五万円)の幅を広げました。その結果、約二百万人が十月から窓口負担が二割から三割の負担増になります。
「現役並み」は高額所得ではありません。国民全体でみれば平均的な収入です。政府は他世代との公平を理由に負担増を正当化していますが、「高齢者は病気の回復・発病予防等で最高の援助を受けられるように(要旨)」(一九九一年高齢者国連原則)にも背く非道な仕打ちです。
政府は今回の改悪法に基づき「混合診療」拡大の十月実施、さらに二〇〇八年四月「高齢者医療制度」導入と、七十〜七十四歳の窓口負担を一割から二割へ引き上げる作業を着々と進めています。雪崩のように高齢者に押しよせる大増税・医療制度大改悪を中止させる運動に向け、大きく声をあげていきましょう。