主張・見解
原爆症認定の集団訴訟に一層の支援を
婦民新聞第1205号(2006年06月20日発行)より
広島・長崎の原爆投下から六十一年、被爆者がいまだに救済されないとは信じがたい事実です。核兵器廃絶が国際的な世論となり、ヒロシマ、ナガサキ、ヒバクシャが世界に通用する国際語になっている今も、日本政府は冷酷、頑迷です。
被爆者健康手帳を持つ約二十六万六千人の被爆者のうち、原爆症と認定されているのは二千二百五十一人(〇五年三月末現在、厚生労働省発表)、わずか〇・八%です。原爆症と認定されれば、被爆者援護法にもとづいて、ガンや肝機能障害に対し医療特別手当(月約十三万円)が支給されますが、認定されず却下された被爆者は、ガンを発症しても原爆が原因とは認められないのです。
いま全国で百七十一人の被爆者が十三地裁に提訴して、国の認定却下処分の取り消しと損害賠償を求め、「原爆症認定集団訴訟」をたたかっています。五月十二日、大阪地裁は提訴した九人の原告に対し、勝利の判決を下しました。
大阪地裁は、爆心地からの距離で推計される被曝放射線量や当時の年齢などで審査される国の認定基準は「機械的だ」とし、さらに爆心地から二キロ以上離れて被爆した「遠距離被爆者」や、原爆投下後に家族を探して市内に入った「入市被爆者」についても被曝を考慮すべきだとして、九人全員の認定却下を取り消しました。画期的な判決の喜びも束の間、厚生労働省は二十二日、判決を不服として控訴しました。
婦民会員の中にも被爆者がいます。その怒り、くやしさは全会員のものです。国の控訴を許さず支援に一層力を入れましょう。