主張・見解
公的医療制度の改悪を許さない運動を
婦民新聞第1195号(2006年02月28日発行)より
二月十日国会に提出された「医療制度改革法案」は医療費抑制を理由に弱肉強食の改革を医療分野にもちこみ、一枚の保険証で、だれでもどこでも必要な医療を受けることができた公的医療制度を土台からきり崩す方向を打ち出したものです。
高齢者が負担増になる主な改悪は、十月から七十歳以上の「現役並み所得」の窓口負担を二割から三割に。長期入院の七十歳以上の食費・居住費の自己負担化。二〇〇八年四月から七十から七十四歳の窓口負担が一割から二割に。さらに新たな高齢者医療制度の創設で七十五歳以上の全高齢者から保険料徴集。とくに二〇一二年までに現在医療型・介護型合わせて三十八万床の療養病床を十五万床に大削減の計画は、高齢者の入院患者追い出しにつながると危惧の声も上がっています。
これまで原則禁止されていた「混合医療」の大幅な拡大も、今後重い病気は「保険」外の医療にたよれというように、所得格差が「命の格差」に直結するケースも容易に予想されます。このように公的医療縮小の背景に、日本の医療市場を拡大し新たなもうけ口にしたい財界と米国の保険会社・医療業界からの強い圧力があることは重大です。しかし私たち女性は医療の世界までアメリカに売り渡す政治を許しません。憲法二十五条をいかし、いのちが守れる安心の公的医療制度にむけ、窓口負担の引き上げをやめさせ、必要な医療とサービスの拡充を求めます。国の予算の中心に医療ほか社会保障をすえる新しい政治への転換へ力を合わせ行動をおこします。