主張・見解
BSEの不安ある米国産牛肉輸入反対
婦民新聞第1187号(2005年11月30日発行)より
内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会は、十月末に審議結果をまとめ、「米国・カナダ産牛のBSE(牛海綿状脳症)リスクの科学的同等性を評価することは困難」とした上で次のような答申をしています。
輸入牛が「生後二十か月以下」で「全頭からのSRM(特定危険部位)除去の条件」が守られるならリスクの差は小さいが、その場合でも「実効性・順守に関する検証結果」の報告が必要(場合によっては輸入停止もある)と管理機関に強く求めています。
アメリカは日本やEUが使用している感度の高いウエスタンブロット法という検査法も採用していません。また日本の個体識別管理のような月齢管理もできていません。飼料規制の面でも牛のSRMを肉骨粉として加工、これを飼料として与えた鶏や豚の糞が牛の飼料に再利用されているずさんな実態もマスコミで報道されました。
世論調査によると60%以上が米国産牛肉の輸入再開に反対し、「日本で安全に向けて立証済みの全頭検査を輸入牛にも」と求め、いったん輸入されると加工食品や外食の表示義務のない現状では危険が広がる一方と、不安の声をあげています。米政府は輸出国としての最低の施策義務を放棄したまま輸入再開を強く迫っています。
日米首脳会談での小泉首相の「米国産牛肉輸入再開」発言は、国民の大きな怒りをかいました。米政府の圧力に屈せず、BSE汚染の不安がある牛肉の輸入はしない基本姿勢を貫くことを強く要望するという意見を、婦民として内閣府食品安全委員会に提出しました。