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第1235号

2007年5月10,20日(合併号)発行

女性と子どもの権利を重ねて
ユニセフ「世界子ども白書」

二〇〇七年三月十二日「ユニセフ」発行の『世界子ども白書2007』は、初めて「女性と子ども」という副題をつけ、ジェンダーの視点(女性差別撤廃条約)と子どもの権利条約を重ねた「子ども白書」となっています。

これは画期的なことであり、特に今「権利」というとらえ方そのものが攻撃されているなかでは、一人でも多くの人々の目に触れてほしいと願っています。

目次を見ると、「平等を求めて」「家庭における平等」「雇用における平等」「政治と政府における平等」「ジェンダーの平等がもたらす二重の恩恵を受け取る」となっており、まさに全面展開になっています。このようなジェンダーの平等が実現すれば、それが「二重の恩恵」となって子どもの権利の拡大にもつながるという論理です。

ここでは最終章の「ジェンダーの平等を最大限に実現するための七つの方法の提示」について、見ておきたいと思います。

その七つとは、教育、財政措置、立法、議会におけるクォータ(議席の割り当て)制、女性による女性のエンパワーメント、男性・男子の参加、そして調査研究とデータの収集の向上である、と書かれています。教育とは女子と男子がともに平等な教育機会を得られるようにすることであり、これはジェンダー差別と闘うもっとも強力なステップの一つと位置づけられています。これを読むにつけ、教育基本法改悪で強行された「第五条」(男女共学)の削除は世界の流れに背くものだったと、あらためて考えさせられます。

ジェンダーに配慮した予算は、子ども予算とともに女性と子どもの権利実現のために欠かせない措置であり、法的な措置もまた平等の実現にとって有効であるとされています。

いま、離婚後に生まれた子どもの父親の認定が議論されていますが、子どもにとっては誰が父親なのかがもっとも大切であり、それは母親にとっても全く一致する問題であることを思い起こさせます。

クォータ制は女性の政治参加を促進させると断定されていますが、小選挙区制はまたもやこのような流れに逆行するものといわざるを得ません。また、草の根の女性運動が平等と女性の状況改善に役立っていること、男性がジェンダーの差別の根絶に積極的になることは、まだ少数であるが、子どもに関与することによって家族や友人からの支持が得られることを通して男性の意識変化が見られる、としています。

これらの調査やデータの収集も重要ですが、こうした提案を広く知らせながら自らの現実と重ね、大いに議論し、考えあいたいと痛感した次第です。

(子どもの権利全国センター 三宅良子)

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