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第1212号

2006年9月10日(日曜日)発行

フィンランドは学力世界一
教育基本法を手本に

定時制高校教諭 鈴木敏則さん

夜間定時制高校の統廃合が全国ですすめられています。埼玉でも統廃合案が示され、生徒たちと「統廃合反対」署名に取り組みました。A君は中学生のとき父親が失業、B君は父母の収入が大幅に減り、定期代や野球部の部活代が払えなくなって全日制を退学しました。定時制の生徒の五〇%が親の失業・倒産です。

授業中の携帯電話使用は禁じていますが、守られません。アルバイト先からの連絡がいつ入るかわからず電話に出なければ勤務時間を減らされたり、「働きたい奴は山ほどいる」とクビになったりするからです。企業は高校生を仕事の調節弁にしているのです。

勤務先は、おもに大手企業の下請け会社で、賃金は安く、深夜の清掃や土方、命綱もない窓ふきなど、危険で辛い仕事です。疲れて授業中に眠ってしまっても、みんな学びたいのです。

そんな生徒たちの支払う学校納付金は(全国二十六都道府県の平均)年八万六千九百八十七円(入学金、授業料、冷暖房費、給食費など)、ほかに制服、上ばきなど各自購入が一万七千三百九十七円。七十歳で入学した女性も森英恵が十代向きにデザインした高い制服を買って着ています。

国際学力調査で学力世界一になったフィンランドは貧富の格差がもっとも少ない国といわれていますが、教育も「平等」を追求してきて、学力格差、学校格差、地域格差が少ない国です。教師の質も高く、敬愛されていて、子どもたちの将来「なりたい職業」のトップが「先生」です。

学校の建設は子どもの居住地から五`以内と法律で定められ、三`以内はスクールバス、三`以上は無料タクシーで通学。小学校は一学級二十人、中学・高校は十六人。高校では授業が終わると廊下に別の先生がいてテーブルも置かれ、わからないところを教えてくれます。スクールカウンセラーもいます

教育費はすべて公費。子どもはみんなで育てるものとして、一人親でも困らないよう社会福祉が整っています。教科書検定は廃止され、学習指導要領は学ぶ量を十分の一に減らすよう改定されました。これらはすべて「日本の教育基本法をお手本にした」そうです。

フィンランドでは親子のコミュニケーションの時間が最長で、家庭での読書時間が長く読書量も世界一。

「子どもたちに成績の順位はつけないのですか」と聞くと、けげんな顔をされました。「去年の自分と今年の自分を比較することはあっても、一人ひとり違う子どもたちをどう比べるのですか」と。

(茨城県母親大会で)

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