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第1190号

2006年1月1日(日曜日)発行

女たちの肖像 愛と思想の歩み(第47回)
「野中の一本杉」

市川房枝

 一九一〇年代、女性問題の論争が深まるなか、都市に教員、事務員、タイピスト、記者、看護婦、電話交換手等、職業婦人が増加し、組織も作られ始めた。

  初の世界大戦の惨禍のあとに、国際紛争の平和的解決の場として1920(大正九)年、国際連盟が生まれ、国際労働機関(ILO)が各国女性の深夜業禁止、産前産後の休養など、女性労働問題を取り上げ始めた。

  平塚らいてうは「青鞜」の後、二児の母としての生活をみつめてきたが、大戦後の各国の女性参政権の実現、国内の米騒動、普通選挙要求などみなぎる改造の機運に揺さぶられ、女の真の自由と独立のために、「恋愛と母性の権利の確立」をもとめる「社会改造に対する婦人の使命」(1920・9)に進んだ。

  「団結によって実際運動に入る時代はきました」と、20年三月、初の全国的規模の市民女性団体、新婦人協会はらいてうの提唱で船出した。その片腕となったのは七歳下、二十六歳の市川房枝(1893―1981)だった。

  市川房枝は愛知県、木曽川沿いの貧しい農家に生まれたが、進取の気に富む父は子らに学問をすすめた。長兄はアメリカに学び、一九一三年「米国憲法提要」を著し、のち読売新聞の外信部に勤務した。幼い時から房枝はやさしい父が母には暴力をふるうのを見た。なぜ、母は耐えるのか、女に生まれたことが因果なのか。房枝は教師となり、その良妻賢母教育にも疑問を抱いた。大正デモクラシーのなかで房枝は「理由なしに従順、犠牲、貞淑をしいられ、自己を偽り人を欺く虚偽の生活」への抗議を雑誌に投稿した。

  名古屋新聞記者として働き、上京した房枝は職を探しつつ、アメリカでの兄の師、山田嘉吉・わかの英語塾に通い、その縁でらいてうの名古屋講演につきそい、繊維工場の女性・児童労働の視察に同行した。その後、日本初の労働組合友愛会婦人部の書記として婦人労働者大会を開き、辞任した房枝の活動的、実務的能力にらいてうは期待した。新婦人協会がまず手がけたのは女性の政治的権利の一歩として治警法五条改正と、花柳病(性病)男子結婚制限法制定の請願だった。女性による全国規模の対議会活動は画期的だったが、らいてうの母性主義と「私は自由主義者、現実主義の運動家だ」と任ずる房枝とは一年たらずでゆきちがう。あとを引き受け、二二年に五条改正を実現させたのは赤ん坊を背負う奥むめおだった。

(近代女性思想史研究者)

魅惑のジプシー・ヴァイオリン
60周年記念コンサート

 婦人民主クラブは、来年創立六十周年を迎えます。「あなたとわたしのコンサート」は、今回で四回目となりました。六十周年の記念にふさわしい会にと十二月十七日、東京で開催。百人あまりの人が参加、家庭栄養研究会からは美しい花篭が贈られました。

 演奏に先立ち大木英子副会長が「婦民は創立以来文化と平和を大切に活動してきました。心を痛めるニュースが相次いでいますが、本日のコンサートは、私たちに勇気を与えてくれるでしょう」と主催者挨拶。荻窪支部の早川美和子さんが司会をつとめました。

 会場は期待に胸ふくらむ華やかな雰囲気の中、ジプシー・ヴァイオリンの古館由佳子さんとピアノ伴奏・飯田俊明さんの登場です。


演奏する古館由佳子さん

 一曲目の「美しき青きドナウ」の演奏がはじまると会場は声にならないどよめきが感じられます。次もどこかで耳にしたことのある「タイースの瞑想曲」。

 古館さんは、ご自分が生まれる前の一九六〇年代頃の曲に興味を持つと語りながら、シャンソン「枯葉」「さくらんぼの実る頃」「愛の賛歌」をメドレーで。そして映画音楽「星に願いを」は、飯田さんのピアノソロ。再びデュオで「ひまわり」「アル・ディ・ラ」と続きます。

 シャンソン・メドレーが始まる頃から古館さんは会場を廻りながらの演奏です。すぐ近くでの演奏は迫力満点。すごいパワーと好評でした。

 第二部との間は、ワイン、コーヒー、紅茶などの飲み物や手作りのケーキをいただきながら、婦民ならではの和やかな歓談。久しぶりになつかしい人に会って近況報告をするなど交流の輪が拡がっていました。

 ジプシー・ヴァイオリンと、いわゆるヴァイオリンとは、指と弦の使い方が異なるそうです。ジプシー・メドレーは圧巻でした。

 「ダイナミックで心揺さぶられる音色」「迫力ある音楽」「野性的なヴァイオリンと柔らかいピアノ伴奏」「自然の音、鳥の音、風の音、心の動き、すべてが素晴らしいメロディー」などあふれるような感想がたくさん寄せられました。

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